法事・法要のマナー

法事/法要のマナー(準備と流れなど)

「法事・法要」 は、単に親族や故人の友人・知人を招いて死者を供養することだけでなく、命日や年忌に先祖をしのび、感謝の心をささげる儀式です。一般的に 「法事」 と 「法要」 は同じ意味で使われているようですが、厳密には次のような違いがあります。
「法事」は、様々な供養・祈願のほかに、お盆・お彼岸などの年中行事など、仏教行事の全般をいいます。「法要は、仏教的に、死者に対する追善供養注1(ついぜんくよう)を営むことです。しかし、今日では私たちが日常ことばにしている 「法事」 は、「法要」と同じ意味で使われることが多くなっています。

注1:追善供養とは、遺族が故人の冥福を祈る仏教儀式をいいます。

 

仏式の法事/法要

法事/法要〜仏式のマナー

法要(法事)は命日に行うのが正式なのですが、お寺やお招きする方々の都合で、どうしても困難な場合には、良い日を選びます。ただし、マナーとしては命日よりも前(命日から離れすぎない)に行います。遅れて行うことはタブーです。
儀式後の、初七日・三十五日・四十九日を特に重要な忌日とし、親族や親しかった人を招いて法要を営みます。

 

四十九日のあとは、百か日・一周忌(満一年目)・三回忌(満二年目)・七回忌(満六年目)・十三回忌・十七回忌・二十三回忌・二十七回忌・三十三回忌・五十回忌・百回忌の順で年忌法要を行います。

 

法事/法要の準備と心得

親族や友人・知人、仕事関係者などを招いて盛大に営む場合の準備は?
  1. 施主を決める〜法事(法要)の主催者を施主(せしゅ)といい、一般には葬儀で喪主になった人が務めます。
  2. 日時を決める〜法事(法要)は命日に行うものとされていますが、参列者が集まりやすい休日を選ぶことが多くなっています。その場合は、命日より遅れることのないように注意しましょう。
  3. 会場を決める〜自宅で行うのが一般的ですが、都市部では菩提寺、斎場、会館、ホテルなどを利用することが多いようです。お寺を希望する場合は、「だれの何回忌の法要か?いつ行いたいか?参列者が何人くらいか?」 を伝えて予約します。また、ほかの会場で行う場合は、なるべくお墓に近いところを選び、早めに予約しておきましょう。
  4. 案内状を発送する〜料理や引出物の準備をしなければなりませんから、まえもって案内状を発送し、出欠の返事をもらう必要があります。返信用はがきを同封して、当日の2週間前までには発送します。
  5. 卒塔婆供養(そとばくよう)の準備をする〜年忌法要では、卒塔婆(戒名や施主の名前などを書いた細長い板)をお墓に立てる「卒塔婆供養」を行うことがあります。これは僧侶に書いていただくものですから、事前にお願いしておきましょう。
  6. 引出物を選ぶ〜参列者には引出物を渡します。品物は軽くてかさばらないものが良いでしょう。品物は、お茶やのり、石けんなどがよく用いられますが、シーツやタオルケットなども選ばれています。引出物は一家にひと品用意し、表書きは 「志(こころざし)」「粗供養(そくよう)」 とします。右肩にだれの何回忌かを記し、水引の下に施主の姓を書きます。なお、仏事ですからのしはつけません。
  7. 会食の用意をする〜法要(法事)終了後に、「お斎き(おとき)」という会食の席で僧侶と参列者をもてなします。仕出屋などに料理を注文する場合は、法要(法事)の会食であることを伝えて、慶祝事用の料理は避けてもらいます。お斎きを設けない場合は、折詰と酒の小瓶を用意し、法要(法事)後に引出物に添えて渡します。

 

仏式の法事/法要の進め方(仕方)

四十九日、一周忌、三回忌までは、比較的大規模な法事(法要)を営み、それ以降は簡略化して、近親者だけで供養してもよいでしょう。

 

法事/法要を自宅で行う場合は

法事(法要)の当日は、菩提寺へ僧侶を迎えに行くのが礼儀です。施主が直接出向いて挨拶をし、僧侶の手荷物などを代わりに持ちます。自宅から遠い場合は、自家用車かタクシーを利用します。読経をあげてくれる僧侶に
礼を尽くすことは、故人に対する心配りであることを心得ておきましょう。僧侶が到着したら別室に案内し、あらためて施主が挨拶をして茶菓で接待します。それから僧侶に着替えてもらいます。

 

法事(法要)の進行と参列者のマナー/施主の挨拶ほか

法事(法要)の開始時刻が近づいたら、参列者は仏壇に向かって着席します。施主または「法役(ほうやく)」(世話役)が仏壇に仏飯(ぶっぱん)を供え、灯明をつけて線香をあげます。法要の準備が整ったら、つぎのような式次第で進行します。 

 

@僧侶入場・施主の開始挨拶 
                      >>開始の挨拶の例文はこちらへ
   僧侶が仏壇の前に座ったら、施主が 「ただいまより、故○○○○の三回忌法要を
   営ませていただきます」 と法要開始を告げ、僧侶に 「よろしくお願いいたします」
   と一礼します。

 

A僧侶の読経
   読経が始まったら、一同は静かに拝聴し、僧侶が合掌礼拝(がっしょうれいはい)
   するところでは一同も合わせて合掌礼拝します。

 

B焼香
   僧侶から 「ご焼香を」 といわれたら、施主から焼香を始めます。
   葬儀のように順序にこだわらなくてもよく、席順に従って、なるべくスムーズに
   行うことが大切です。

 

C法話
   僧侶が参列者のほうを向いて座り直し、仏教の話をします。
   法話が終わったら、一同は合掌して一礼します。

 

D僧侶退場

 

法事/法要〜施主の終了挨拶

僧侶が退場すると法要は終了します。施主は下座に移動して、法要が終了したことと、参列してくれたことへのお礼を述べます。「本日はお忙しいところ、ありがとうございました。ささやかな膳を用意いたしましたので、ごゆっくり召し上がってください」のように、手短な挨拶のほうがよいでしょう。墓地が近い場合は、お斎き(おとき)の席に移る前に墓参りをすることもありますが、お斎きがすんでから参ってもさしつかえありません。
>>終了の挨拶の例文はこちらへ

 

神式の法事/法要

 

神式の法事(法要)を、「霊祭(れいさい)」または、「霊前祭(れいぜんさい)」 といい、次のような習わしがあります。

 

翌日祭

葬場祭の翌日に、葬儀の無事終了を報告する霊祭ですが、最近はあまり行われておりません。

 

十日祭

死亡から10日ごとに、十日祭から五十日祭まで行います。五十日祭は、仏式の忌明けにあたり、もっとも重視されます。この日には故人の霊璽(れいじ)を祖霊舎(それいしゃ)に移してまつる 「合祀祭(ごうしさい)」 をいっしょに行うことが多くなっています。

 

百日祭

死後100日目に行います。翌日祭から100日祭までは墓前で営むのが本来のしきたりで、ここまでを「墓前祭」 ともいいます。

 

式年祭

式年祭は仏式の年忌法要にあたるもので、一年祭、二年祭、三年祭、五年祭、十年祭、五十年祭、百年祭とつづきます。自宅や斎場で行い、このうち比較的大規模に営まれるのは、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭です。そのほかは省略されるようになりました。

 

神式の霊祭の進め方

十日祭、五十日祭、一年祭では、神職、近親者、友人、知人を招きます。墓前または自宅の祭壇に洗米、塩、水などを供え、修祓(しゅうばつ)、献饌(けんせん)、祭詞奏上(さいしそうじょう)、玉串奉奠(たまぐしほうてん)をし、その後、神職と参列者を食事でもてなします。神社への謝礼は、その神社の格式によっても異なりますから、神職に直接たずねるとよいでしょう。表書きは「御礼」とし、「御車代」を別に包みます。

 

キリスト教式の法事/法要

 

キリスト教式の法事(法要)は、仏式や神式より簡素に営まれます。

 

カトリック

死亡後3日目、7日目、30日目に 「追悼ミサ」 を、1年目の命日に「死者記念のミサ」を行いますが、現在は3日目と7日目はあまり行われていません。その後は10年目、20年目など区切りのよい年に死者記念のミサを盛大に営むことがあります。ミサは教会において神父の司会で進められ、遺族と参列者は聖歌や祈りをささげます。最後に参列者を茶話会でもてなします。教会への謝礼は 「ミサ御礼」 として渡します。

 

プロテスタント

宗派が多く一定しませんが、死亡後1か月目の命日を 「昇天記念日」 として教会か自宅、斎場のいずれかに牧師と近親者、友人、知人を招き、記念式を行います。牧師とともに祈りをささげ、聖書朗読や讃美歌合唱などを行います。その後茶話会を開いて故人をしのびます。教会への謝礼は 「昇天記念献金」 として渡します。