結納の挨拶と口上を一例で解説
結納にはさばざまな作法や口上/挨拶(決まり文句)があります。流れを把握して、スムーズに進めるように心がけましょう。
正式結納 〜儀式の進め方(仲人が両家を往復する)
以前は、両家が仲人(なこうど)とは別の使者を立てて結納を取り交わしましたが、現在は仲人夫妻が両家を往復する形に変わりました。関東式の一般的な手順や口上(挨拶)は次のとおりです。
関東式(儀式)の一般的な手順と口上(決まり文句)
<1> 男性宅へ行って結納品を預かる
本人(新郎)と両親は玄関で仲人を迎え、結納品を飾ってある部屋へご案内します。
茶菓の接待などは控え、ひと呼吸おいたら、すぐに仲人が口上を述べます。
仲人:「このたびは○○様と△△様のご縁談がめでたくととのい、おめでとうございます。本日はお日柄もよく、謹んでご結納お取次ぎの大役を務めさせていただきます」
父親または本人が、床の間に飾ってある結納品と家族書・親族書を取り下げ、仲人の前に運びます。
父親または(新郎の父または新郎)
男性
本人:「本日はご多用のところ、大変お世話になります。私どもの結納の品でございます。△△様へお納めくださいますよう、宜しくお願い申し上げます。」
仲人は目録に目を通し、結納品を確認します。
仲人:「確かにお預かりいたしました。△△様へお納めにまいります。」
仲人(仲人夫人でもよい)が結納品や片木台(へぎだい)を、購入したときの箱に納め、家族書・親族書などとともにふろしきに包みます。解く∞ほどく は縁起が悪いのため、ふろしきの端は結ばないで、内側に折り返します仲人が結納品を両手で胸の高さにささげ持ち、夫人とともに女性宅へ向かいます。男性側は玄関まで見送ります。
<2> 女性宅へ結納品を納める
女性宅では、母親が玄関で仲人夫妻を迎え、本人と父親は、結納品を飾った部屋の
下座で待ちます。ここでも茶菓の接待や雑談などはせず、仲人はすぐに片木台に
結納品を整えます。整ったら、仲人夫人が女性の前に運びます。
仲人: 「このたびは○○様と△△様のご縁談がめでたくととのい、おめでとうございます。」本日はお日柄もよろしいので、○○様よりご結納の品をお届けにまいりました。どうぞ幾久しくお納めください」
父親または本人(女性)が目録に目を通し、元に戻してから本人がお礼を述べます。
女性(新婦)
本人:「本日はご多用のところ、お世話になります。○○様よりのご結納の品、幾久しくお受けいたします」
本人が結納品を床の間し運んで飾り、自分側の結納品を取り下げ、受書を添えて仲人に渡します。
父親または
女性
本人:「ご結納の受書と私どもの結納の品でございます。○○様へ幾久しくお納めくださいますようよろしくお願い申し上げます」
仲人:「確かにお預かりいたしました。○○様へお納めにまいります」
結納品と受書をふろしきに包んで、再び男性宅へ向かいます。
<3> 男性宅へ結納品と受書を納める
仲人は、男性宅に到着したらすぐに結納品を整え、口上を述べます。
仲人:「△△様よりお預かりいたしました受書とご結納の品でございます。幾久しくお納めください」
本人(男性)が目録に目を通し、元どおりに戻してからお礼を述べます。
男性(新郎)
本人: 「ありがとうございます。幾久しくお受けいたします」
父親または本人が結納品を床の間に飾り、受書を仲人に渡します。
父親または
男性
本人:「ただいま頂戴いたしましたご結納の受書でございます。△△様へお届けくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。本日はひとかたならぬお世話をいただき、まことにありがとうございます」
仲人:「確かにお預かりいたしました。では△△様へお届けにまいります」
再び女性宅へ向かう仲人を、全員で見送ります。
<4> 女性宅へ受書を納める
仲人は、部屋に通されたらすぐに口上を述べ、受書を渡します。
仲人:「ただいま、○○様へご結納の品をお納めしてまいりました。こちらが受書でございます。これにて本日の○○様と△△様のご結納の儀、滞りなく終了いたしました。まことにおめでとうございます」
父親または
女性
本人:「本日はまことにありがとうございました。ささやかながら酒肴(しゅこう)の用意がございますので、どうぞおくつろぎください」
女性側で用意しておいた祝い膳で、仲人の労をねぎらいます。
集合型結納 (一堂に会して行う)
仲人と両家が一室に集まって行う略式結納では、仲人が両家の間に立って、すべてを執り行います。結納交換が終了するまでは、両家はことばを交わしません。
どちらか一方が仲人と結納のやり取りをしている間も、もう一方は見守るだけにします。開会時と終了時以外は、いっしょにお辞儀をするようなことも控えます。
<1> 結納品を飾り、口上を述べる
両家とも仲人に結納品を預け、床の間か上座に飾ってもらいます。
全員が着席したら、男性側の父親が代表して仲人夫妻に挨拶を述べます。
男性側
父親:「本日はご多用中のところ、両家の仲立ちをお引き受けいただきましてありがとうございます。お取り次ぎのほどをよろしくお願い申し上げます」 (一同礼)
仲人:「このたびは○○様と△△様のご婚約がととのい、まことにおめでとうございます。本来ならば私がご両家に持参すべきですが、略式ながらこの席にてご結納の取り次ぎをさせていただきます。(一同礼)
<2> 男性側から女性側に結納品を贈る
仲人婦人は男性側の結納品を取り下げ、女性本人の前に、正面を向けて
置きます。片木盆にのせた婚約記念品や家族書・親族書も同様に置きます。
仲人:「○○様からのご結納のお品でございます。幾久しくお納めください」
女性側父親
または本人:「ありがとうございます。幾久しくお受けいたします。(礼) 拝見します」
本人、父親、母親の順に目録に目を通し、元どおりにたたんで台に戻してから、片木盆にのせた受書を仲人夫人に渡します。
女性側父親
または本人:「ご結納の受書でございます。よろしくお取り次ぎをお願いいたします」
仲人夫人:「お預かりいたします。
仲人夫人が受書を男性本人の前に差し出します。
仲人:「△△様からのご結納の受書でございます」
<3> 女性側から男性側へ結納品を贈る
同様にして女性側から男性側への結納品を贈り、受書を女性側に渡します。
*受書のやりとりは省略することが多くなっています。
<4> 締めくくりの口上を述べる
仲人:「これにておふたりのご婚約がめでたくととのいました。
本日はまことにおめでとうございます」 (一同礼)
最後に男性側の父親が両家を代表して、仲人にお礼を述べます。
男性側(新郎)
父親:おかげさまでふたりの婚約がととのいました。本日はたいへんお世話になり、まことにありがとうございました」
男女
本人:「ありがとうございました」
式が終了したら、一同で会食する
両家だけで行う集合型結納 (仲人を立てない)
仲人を立てない場合は、男性側の父親が進行役を務め、両家が直接ことばを交わしながら進めます。
<1> 結納品を飾り、口上を述べる
結納品を上座に飾り、全員が着席したら、男性側がすぐに口上を述べます。
男性側父親
または本人:「本日はお日柄もよろしく、両家の縁談がととのいまして、しるしばかりの結納でございますが、よろしくお願いいたします。」
<2> 男性から女性へ結納品を贈る
男性側の母親が結納品を、女性の前まで運び、一礼して自席に戻ります。
男性側父親
または本人:「結納の品でございます。幾久しくお納めください」
女性側父親
または本人:「ありがとうございます。幾久しくお受けいたします」
本人、父親、母親の順に目録に目を通し、元どおりに戻します。
<3> 女性から男性へ結納品を贈る
<2>と同様に、女性側から男性側へ結納品を贈ります。
<4> 締めくくりの挨拶をする
男性側の父親が口上を述べます。
男性側
父親:「滞りなく結納を執り行うことができました。これからも幾久しくよろしくお願いいたします」
本人たちも両親にお礼を述べます。
男女
本人:「これで私どもの婚約が成立しました。ありがとうございました」