結納について
結納は仲人を通して結納品や結納金を取り交わす、日本の伝統的な婚約のスタイルです。また、結婚の約束を社会的に認めてもらうのが結納の目的で、結婚式に準じる重要なセレモニーとして位置づけられています。
仲人の依頼と依頼されたとき〜
仲人の依頼 範囲
仲人がかかわる段階
- 縁談→結納→挙式→披露宴まですべてを取り仕切る本仲人(ほんなこうど)
- 縁談→結納までの仲立ちを務める下仲人(したなこうど)
- 挙式→披露宴での媒酌だけを務める頼まれ仲人
最近は、仲人を立てずに、親しい人たちに立ち会ってもらうスタイルが増えていますが、最も多いのは、3の頼まれ仲人です。
依頼する際の注意〜
・最初に手紙や電話でふたりの気持ちを伝えましょう。
・仲人にはさまざまな負担をかけることになりますので、即答を求めない。
・内諾が得られたら、本人たちが直接出向いて正式に依頼し、
できれば親の同伴があると良いでしょう。(履歴書や身上書などを持参)
仲人への謝礼(仲人料)
- 結納と結婚式の両方をお願いする場合〜結納金の2割が目安
- 結婚式の当日だけの場合〜結納金の1割が目安
謝礼は、のし袋に赤白または金銀の結び切りの水引をかけ、「御礼」 「寿」と表書きにして、両家の連名で渡します。
注意
謝礼を渡すタイミングは、披露宴終了後にまとめて支払うのがふつうです。ただし、「御車代」や祝い膳を設けないときの「酒肴料(しゅこう‐りょう)」は、そのつど渡すのがマナーです。仲人宅で結納を行う場合は、御車代は不要ですので、飲食代などの費用に多少上乗せした金額を包んで渡します。
仲人を頼まれたとき
仲人を務めることは、昔から名誉なこととされてきました。頼まれたら快く引き受けたいものですが、承諾する場合には、ふたりの人柄や、結婚に対する自覚などをしっかり確認し、末永くふたりをケアする覚悟で承諾するべきでしょう。当人たちの良き相談相手として、また両家の調整役として、親身に世話をできるだけの時間的・精神的な余裕がない場合は、事情を説明して丁重にお断りするほうが、むしろ誠実です。
ふたりの結婚に不安や疑問が感じられて、どうしても辞退したい場合は、理由をはっきり伝えるのではなく、「仕事の都合で」 とか 「家内の体調が思わしくないので」のように、角の立たない口実を設けると良いでしょう。
結納の準備/仕方と方法〜
結納の形式
結納の方法は時代ごとに変化し、現在も受け継がれているのは、主に3通りの形式があります。
- 正式結納〜仲人の夫妻が両家を往復して結納を取り交わす伝統的な形式です。しかし、現代では両家が離れていることが多く、負担が大きいため、この方法はあまり行われておりません。
- 集合型結納〜仲人と両家が一堂に会して結納を行う方法です。
- 略式の集合型結納〜仲人を立てずに行う結納で、仲人の代わりに男性側の父親が進行役を務めます。
結納の日時と場所(会場)
結納の日時は、以前は、大安や友引(ともびき)、先勝(せんしょう)などの吉日の午前中に結納を行うのが慣例でした。しかし、最近はあまり日柄にこだわらず、土・日曜、祭日の午前10時ごろから、食事をはさんで午後3時ごろに終わるケースが多くなっているようです。とはいえ、やはり一生の縁起にかかわることですので、日柄を気にする人もいます。その場合、両家で相談して、都合の良い日を選ぶようにしましょう。
会場は、正式結納の場合は双方の自宅になりますが、集合型結納の場合は、仲人宅や女性宅のほか、ホテル・結婚式場・料亭・レストランなど、一室を借りて行うケースが多くなっています。
結納時の服装
結納時の服装は、正装または略礼装が基本になります。
女性の場合〜洋装なら上品なワンピースかスーツ、和装なら振袖や訪問着
が良いでしょう。
男性の場合〜黒のスーツかダークスーツに、白のワイシャツと礼装用のネクタイ
を合わせます。
仲人や両親は、本人たちよりも服装の格を少し下げるように配慮しましょう。父親と仲人は、黒のスーツかダークスーツ、母親と仲人婦人は、和装なら色無地一つ紋や訪問着などが良いでしょう。また、仲人の意見も参考にして
決めましょう。
結納品・結納金〜
結納品は地域によってしきたりが異なる
結納品は、結婚するふたりの幸福と家の繁栄を祈って取り交わす縁起物のことです。昔から奇数(喜数きすう)でそろえるのが習わしで、9品目・7品目・5品目があります。最近は、金包(きんぽう)・長熨斗(ながのし)・指輪の3品目も登場してます。結納品は、デパート・専門店・結婚式場などセットになったものを販売してます。購入ランクは、両家双方で話し合って決めましょう。
関東式 結納品の並べ方
H G F E D C B A @
@目録(もくろく)〜結納品目などを記したもの。
A長熨斗(ながのし)〜干したあわびを伸ばしたもので不老長寿の象徴。
B金包(きんぽう)〜結納金を包んだもの。
C末広(すえひろ)〜2対の白扇で末広がりに家が栄える、純白無垢を意味する。
D友志良賀(ともしらが)〜白い麻糸、ともに白髪になるまで添い遂げることを願う。
E子生婦(こんぶ)〜2枚の昆布、「喜ぶ」に通じ、繁殖力も旺盛なところから子孫繁栄を願う。
F寿留女(するめ)〜するめは保存がきくため強い生命力を象徴。
G勝男節(かつおぶし)〜鰹節、するめ同様、男性の強い生命力を象徴。
H家内喜多留(やなぎだる)〜清酒を入れた柳樽。現在は酒代として5千円〜1万円程度の現金を入れる。
結納品の並べ方 関東式と関西式の違い
・関東式〜横長の白木の台に結納品一式をのせて受け渡しを行います。
結納を交換することから、「結納を交わす」といいます。
・関西式〜結納品を一つずつ小さめの片木台にのせ、立体的に並べます。
床の間に飾ったまま、目録で受け渡しを行います。男性側からだけ贈ることが多く、
「結納を納める」といいます。
結納金・結納返しの金額(相場)など
結納金の意味は、男性の家から女性の家に 「花嫁を育ててくれたお礼」として贈るという意味がありました。時代経過とともに、「嫁入り支度金」 の意味合いが強くなり、現在は、男性の月収の3倍、あるいはボーナス1回分が目安とされています。結納返しは、女性から結納金の半分から3分の1程度を贈る習わしがあります。たとえば関西のように、3分の1程度の金品を、婚礼当日におみやげとして持参する地域もあります。
最近では、結婚費用は双方で折半するという考え方が定着し、結納金や結納返しを省略するケースが多くなっています。また、結納品の代わりに婚約指輪など婚約記念品を交換するカップルたちも増えてきてます。結納金を贈る際でも、最初から結納返しの分を差し引いて贈る、合理的な方法が一般的になってきました。金額などは両家で話し合って決めますが、まとまらない場合は、仲人に調整をお願いしましょう。
目録・受書の用意と記入のしかた
「目録」 は納品書、「受書」 は受領書のことで、それぞれ結納品名を1品ずつ記したものです。男性は結納の目録と結納返しの受書を、女性は結納の受書と結納返しの目録を用意しますが、略式結納ではその場で結納品を確認できるため、受書を省略することもあります。
結納品のセットには、結納品目が印刷されている目録や受書が用意されていますから、それを使用すると良いでしょう。
空白になっている1行目と日付、氏名、宛名は自分で書きます。
1行目には、男性側は、 「御帯料 壱封(おんおびりょう いっぷう)」女性側は、 「御袴料 壱封(おんはかまりょう いっぷう)」 と書きます。結納金とともに婚約指輪を贈る場合は、「御帯料 結美和付壱封(ゆびわつきいっぷう)」 と書きます。婚約記念品だけを単独で贈る場合は、 「結美和 壱個」 「登慶恵(時計のこと)壱個」のように書きます。以前は、贈り主名や宛名名は、親の名前にしていましたが、現在は本人名が一般的です。
家族書・親族書の用意と記入のしかた
家族書や親族書は、奉書紙(ほうしょがみ)に書くのが正式ですが、結納品セットに入っているものを使用することもできます。家族書・親族書の書き方はいろいろありますし、両方を一枚の用紙に記入する方法もありますから、両家で話し合って統一するようにしましょう。親族書には、親・兄弟姉妹・祖父母・おじ・おば・めいの三親等まで血縁の濃い順に書くのがふつうです。