香典返しのマナー
葬儀/葬式でのお香典返しは、本来、「香典を香の代わりに霊前に供えるもの」ですから不要なのですが、遺族のお礼の気持ちとして贈るようになりました。
四十九日法要が済んだ忌明けの挨拶状に添えて品物を発送するのが一般的なマナーになっています。
忌明けとは/故人が亡くなり、忌中(喪に服する期間)を経て、四十九日をもって忌明けとします。遺族は忌明けから日常の生活に復帰します。近年では三十五日(五七日忌)に繰り上げた忌明けもあります。 神式の葬儀では、五十日祭の翌日に行われる清祓いの儀(きよめはらいのぎ)をもって忌明けとします。
香典返しの時期は
- 仏式の香典返しは、三十五日または四十九日の忌明けごろ
- 神式では、三十日祭(さんじゅうにちさい)か五十日祭ごろ
- プロテスタントでは、一ヵ月後の召天記念日のあと
- カトリックでは、追悼ミサのあとに送るのが普通です。
最近のお香典返しは、葬儀(葬式)通夜、告別式の式場で渡す当日返し(即日返し)も多くなっています。
香典返しの金額の相場は
香典返しは、「半返し」といって、いただいた香典の半額程度の品物を返します。しかし、香典の額はまちまちですから、半返しにこだわると品選びが面倒です。そこで、三段階ぐらいの品物を用意して、香典の額に応じて品物を送る方法がよく用いられています。最近では金額にかかわらず、同じ品物を送るケースも多くなっています。香典には相互扶助的な意味もあるため、一家の働き手が亡くなった場合は、三分の一程度にしたり、香典返しは省略することもあります。
また、故人の遺志を汲んで施設などに寄付することもあります。この場合は香典返しは送らなくてもかまいませんが、忌明けの挨拶状に、どのような事情でどこに寄付したかを明記して、感謝の気持ちを伝えます。
香典返しの品物と表書き
香典返しのお礼の品物は、弔事ですから、長く残らないものが良いとされています。お茶、のり、石けん、シーツ、タオル、タオルケット、砂糖など。選択に悩む場合は、受け取り手が自由に選べることができる、カタログギフトも良いでしょう。品物は、白の奉書紙で包み、黒白か銀一色、黄白の水引をかけます。
表書きは、「志」 が各宗教共通です。仏式では 「満中陰志」(まんちゅういんこころざし) 「忌明志」(きあけこころざし) 神式では「偲草」(しのびぐさ)とすることもあります。水引の下には、 「○○家」 と喪主の姓を書きます。
香典返し/忌明けの挨拶状(お礼状)と文例
香典返しに添える忌明けの挨拶状/お礼状の例文@
謹啓 先般 父○○永眠に際しましては、ご多用のところご丁重なご芳志を賜りまして誠にありがとうございました。
さて 本日 ○○院○○○○居士
七七日忌法要を滞りなく相営むことができました。
生前故人に賜りましたご厚情に対し改めて厚くお礼申し上げます。
つきましては、供養のしるしまでに心ばかりの品をお送りいたしましたのでお納めくださいますようお願い申し上げます。
まずは右 略儀ながらお礼かたがたご挨拶申し上げます。 謹白
▲▲年▲月▲日
山 本 ○○
香典返しに添える忌明けの挨拶状/お礼状の例文A
謹啓 時下ますます御清栄のこととお慶び申し上げます。いつも変わらぬお引き立てを賜り、厚く御礼を申し上げます。
さて、過日父●●葬儀の際には御多用のところ御来駕の上、御懇篤なる御弔辞をいただきかつ御鄭重なる御供物を賜りまして、御芳志まことに有難く御礼申し上げます。
本日 ○○院○○○○居士
満中陰の法要を営みましたので、供養のしるしまでに心ばかりの品をお届け申し上げましたので、なにとぞ御受納くださいませ。
まずは略儀ながら書中をもって御礼かたがた御挨拶申し上げます。敬具
▲▲年▲月▲日
山 本 ○○
弔電だけいただいた人には香典返しは必要?
葬儀葬式・告別式に参列できず、弔電を打ってくれた人には、香典返しの品物を送る必要はありません。弔電だけの人にまで香典返しをしたのでは、かえって先方に負担を感じさせてしまうでしょう。ただ、何のお礼もしないで、いただいたままというのは失礼なことですから、礼状だけは必ず出すようにします。この場合は、パソコンなどは用いず、手書きにするのがマナーです。
香典を寄付するときは
故人の遺志で、あるいは遺族の考えで、香典を施設や基金などに寄付するケースが増えています。寄付をしたいが送り先が決まっていないという場合は、社会福祉協議会あてに送るとよいでしょう。送るときは、喪主の名前にしますが、香典をいただいた人のリストを添えると、後日、会のほうから各人に感謝状が送られてくることもあります。そのほか、新聞社やNHKなどに委託する方法もあります。